注目度★★★☆☆
「リンちゃん大丈夫…?」 ===================================== 小さい頃は大きな体にその性格もあってか、よくいじめられており、帰り道はよく泣いていた。 その経験のせいかリンちゃんはいつも自信がなさげで、何をするにも僕に相談してくるような子だった。 いつも頼られて一緒にいたこともあってか、僕がリンちゃんのことを好きになるのは自然のことだった。 リンちゃんもそう思ってくれているはず…きっと僕たちはいつか… 「ヒロくん…私…カズキ先輩のこと…好きになっちゃった…」 複雑な気持ちだった。 なにより、カズキ先輩は女遊びがひどくて有名だった。 リンちゃんの気持ちを否定するのも可哀想で、 しかし、そんなことをしているうちに… カズキ先輩は卒業した。 チャレンジ精神が出ず思いを伝えられなかったことにリンちゃんは泣いていた。 僕は安堵した。 リンちゃんの初恋は終わった。 そう思っていたのだが…。 月日はながれ文化祭の当日、僕たちは受付業務をしていた。 文化祭が終わったら二人でどこかでかけない? そうリンちゃんに言おうとした時、彼女は驚いた顔で人混みを見つめていた。 視線の先には、カズキ先輩がいた。 「ヒロくん…私…ちょっと文化祭まわってきていい…?」 リンちゃんがこれから何をしようとしているか、表情ですぐにわかった。 うまくいくはずがない…。 大丈夫と思いながらも、もしかしたらと言う考えがよぎる。 穏やかではない心中を隠すように 「うん…楽しんできてね…」 ここが運命の分かれ道だったことも知らずに。 ◆本編156p
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