注目度★★★★☆
【内容】 【内容】 そうか、私は…『特殊』なんだ…。 世間では「性的マイノリティに理解と配慮を」等と叫ばれているが、正直羨ましい。 私が性欲を発散するという事は、犯罪者になるという事だ。 そしてもう一つ悩みがある。 最悪の取り合わせ。 湧き出る欲求をぶつける場所がない。 それが理由で○校時代はやや塞ぎ込む時期もあったが、大学に入る頃には 自分の性癖には『蓋』をし、『普通の学生』を心掛けた。 それでも強い性欲と男性への興味は抑えが効かず、 どうやら私の体は、男をテンプテーションする事に長けているらしく、 単純なゲームだった。 ただ…発散しているはずの欲求が、何故か満たされない感覚があった。 そんな生活は就職後もなお変わらず、ある日職場で問題が起きる。 幸い訴訟問題になる事は無かったが、職場には居られなくなり退職。 家族からの叱責の後、勘当同然に家を追い出された。 それでも、唯一多少気にかけてくれたのは姉だけ。 姉に「家庭を持てば変わるかもね」と婚活を奨められる。 家庭に入って落ち着いてしまおう…不純な動機ながら、私は結婚相談所に登録した。 そこで、ある男性と出逢う。 「僕が寂しいというのもあるんですが…息子が気掛かりで。 …息子? ズズ…と、自分の中から音が聞こえる。 「その息子というのが」と男性は写真を見せてくれた。 一目惚れ…という物を初めて経験した。 それと同時に感じた絶望と諦観。 (この人と結婚して、上手くやればこの子と体関係を結べる) 内側から響く悪魔の囁き。狂気の提案。 埋まるはずの無かった私という歪なジグソーパズル。その最後のピース。 後の人生など、どうでもいい。 私は『母』になる。『彼』を○す為に。
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